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 『鍼道 一の会』東洋医学講座 のご案内

『鍼道 一の会』東洋医学講座の理念

 古来、鍼灸医学には全科的な、あらゆる病気に対処してきた実績があり、社会的に絶大な信頼を得ていました。
明治開国時代、欧米列強によってアジアに植民地主義の嵐が吹き荒れる中、植民地支配に対抗する必要性から我が国を挙げて近代西洋化が推し進められました。伝統医学もまた政治的情勢の波に飲まれてしまい、ついにはその本来の姿さえ忘れ去られ、今なお本格的復興がなされていないのが今日的状況です。
 翻って今日の医療情勢を見渡すと、現代医学は日々進歩し高度な発展を遂げているにもかかわらず、国民の健康度はそれと比例するどころか、むしろ悪化しているとも言えるでしょう。
 このような世相にあって『鍼道 一の会』は、今や取り残された遺産である日本の伝統鍼灸に基づき、臨床を通じてこの『未病の医学』の素晴らしさを社会に発信していくとともに、病気を治せる鍼灸師の育成を通じて、広く社会の健康福祉に貢献することを理念としています。

「一の会」の由来

 「一」はすべての始まりであるとともに、大自然の複雑極まりない現象もまた「一」に集約することが出来ます。
同じく、病の種類がどれほど多くとも、病者がどのような複雑多岐にわたる症状を呈していても、病の原因は「気の偏在」であるという、ただ一点に集約されます。
 我々は、伝統医学を培ってきた歴代の医家と同じ世界観を持ち、同じ視点に立って病を認識し治療を行います。

本講座の目的およびお伝えしたいこと

 「一」をつかみ取るための方法としては、まず基礎医学を十分身につける必要があります。
<学>は対象を認識する方法論です。対象をあらゆる方向から認識し、その時々で最も有効な認識方法を瞬時に選択できるだけの東洋医学的背景(知識と経験の積み重ね)が必要です。
<術>は鍼を刺すだけの一見簡素なものであるため、誰にでもすぐに真似ができます。簡素であるからこそ、マニュアル化できない高度な技が求められるのです。それができるのがプロというものです。
この<学>と<術>を、時間をかけて一定身に付け、法を手にすれば、自分で自分を磨き上げていくことが出来ます。

 そして、望・聞・問・切の四診を駆使して「気の偏在」を的確に捉え、補瀉に集約して下す一本の鍼の力を知ることが、病気治しの第一歩であり、臨床家として独り立ちする道です。
 本講座では、患者さんの願いを叶えることができる=病気を治すことができる鍼灸師の育成、志高く「未病の医学」を標榜する、国士たる人物の育成を目指します。

◆中医学を精密に学習するだけでは十分ではない 

実技風景

 中医学は、国家規模で用語の概念が統一され、理論的に高度に整備されています。しかしながら、それは湯液家(漢方薬)のために作られたものであり、鍼灸に応用するところに無理があります。
 それは中医学の鍼灸医学書に、腹診・背部兪穴診・原穴診など、実際に患者が現す体表観察が大きく欠落していることからも窺えます。これは直接患者の身体に触れ、全身の「気の偏在」を視野に入れ、そこから伝わってくる感覚を最も重要視する鍼灸臨床にとって、決定的な欠損分野です。
 問診と脈診を主にして導き出した『証』に対して「鍼灸配穴」を処方するなどというのは、個々人の心身が多様に表現する個体差を無視したものであるともいえます。

 また、中医学は唯物論を基礎としているため、目に見えない「気」が体表に現れているという事実を捉える方法論を持ち合わせていないという面もあります。
鍼灸医学の強みは、直接患者さんの身体に触れることができるという点です。

 中医学を臨床に活かすには、中医学理論を自然界や人体に置きかえてイメージできること、内経思想を背景にして患者の身体に触れ、多様に変化する『気の偏在』を直接捉えることが必要不可欠です。
 つまり、どのように「気」を動かすかをリアリティーをもって臨むことこそが、あらゆる病気に的確に対応できる臨床力を養うことにつながるのです。

 

◆具体的に「気」を捉えることがポイント 

風・水面

「気」は必ず具体的な現象を伴います。

たとえば、風は目に見えなくても、木々を揺らしたり、雲の流れを促したり、水面の波などでその存在を知ることができます。

「気」も同様で、人体に現れる症状やお腹・背中・手足・経穴などに現れる具体的な現象(緊張・弛緩・寒熱など)から「気」の偏在を捉えることができます。
そして、それらの情報を虚実・補瀉に集約して鍼ができるようになると、あらゆる病気に対応することが可能になるのです。

本会の目指す内容は、以下の通りです。

○ 中医学で不足していること、すなわち、「気」を具体的にリアリティーを持って捉えることが出来る。
○ 臓象学・経絡学を学ぶことで、臓腑の機能が身体にどのような現れ方をするのかを捉えることが出来る。
○ 『気の偏在』を四診で具体的に把握することが出来る。
○ 傷寒論を学ぶことで、病気の病因・病理を明確に、リアリティーを持って理解することが出来る。とりわけ八綱概念の把握に繋がる。
○ 方剤構成を学ぶことで、病態把握を深め、正邪・補瀉の戦略を時系列的に立てることが出来る。
○ 日本の伝統各流派を学ぶことで、認識論が深まり広がる。
○ 臨床家としての資質を高めることが出来る。
○ 自分で行う学習の方向性が明確になる。
○ 患者指導や自分自身の健康維持に役立つ。
○ 具体的な事象に基づいて臨床を行うことが出来、自信が積み重なってくる。

※インスタントな養成は致しません。また、漠然と講座を受けても臨床力は身につきません。
 意欲的な予習と復習が必須ですので、ご了解ください。

▶▶「鍼道 一の会」東洋医学講座 2017年度 募集要項・お申し込み方法

講師コメント

代表 : 金澤 秀光(いおり鍼灸院・院長,大阪医療技術学園専門学校/東洋医療技術教員養成学科・非常勤講師)

代表・金澤秀光

 外に目を向けて社会を見渡すと、一般市民の鍼灸医学に対する認識度は、この医学が内包する世界に比して十分とは言えない。一方、内に目を向けてみると、歴史的に培われてきたこの伝統医術の真髄を、現代の鍼灸師が申し分なく発揮しているかと言えば、甚だ心もとない現状ではなかろうか。
 それは、鍼灸一本で「鍼灸院」として開業を続けて行くことの困難さの現状に現れている。世の人々に、この素晴らしい医学を認知してもらうためには、自らその「証」を示さなくてはならない。
 この伝統医学を体現し、世に認められるべく貢献し、その事によって自ら生かされんと望む者は、高く強固な志が必要である。半端な気持ちや学習では到底おぼつかないのである。我々は、本気である。

「臓象学」の授業概要
 臓象学は、東洋医学の根幹であり、これを熟知せずしてこの医学は成り立ちません。
一方、五行論は天の気が大地に映し出した象を5つの要素に分類したものであり、同時に四時陰陽の消長の時間軸でもあります。
 この五行論から五臓の概念が導き出されているので、五臓という概念は、カテゴリーとしてだけでなく時間軸を意識して認識する必要性があります。
 気の医学としての臓腑を表現した「臓象図」には、臓腑の性質と生理が象徴的にあらわされています。
内経思想を背景に、この臓象図を用いて臓腑生理を立体的・有機的・時間的に解説し、実体のない臓象の観念的枠を超えること、そして自由な発想で臨床に応用できることを目標に講義を行います。

「経絡学」の授業概要
 経絡学もまた、鍼灸医学の根幹に関わる学問分野であるにもかかわらず、残念ながら教育の場で十分に教育されていないという現状があります。
 万物の生成・変化の場は「三才思想」を基本とし、六合(りくごう=東西南北・天地)を空間的舞台として展開されます。
 そしてこの経絡学も、人体を六合の空間軸で捉えます。そのため、十二経絡に先立ち、任脈・督脈・衝脉・帯脉など、空間認識に欠かすことのできない奇経をしっかりと講義します。
さらに、十二経絡流注の認識が進むにつれ、臓腑の生理機能と病証が自ずと有機的・立体的に術者の意識に浮かび上がってくるような内容にいたします。

副代表 : 永松 周二(鳳凰堂鍼灸整体院・院長,大阪医療技術学園専門学校/東洋医療技術教員養成学科・非常勤講師)

副代表・永松周二

  鍼灸で学べるものは、理論や治療技術だけではありません。
治療の「場」をどう作るか、治療時の患者さんの目の動き、治療前治療後の口調の違い、そして自分の「気の置き所」など、学べるところはたくさんあります。
 自分の気がどのように伝わるのか、知識と体感で学び取っていただきたいと思っています。

「易学」の授業概要
 易学は東洋のあらゆる分野の礎として、随所にその思想が隠されています。
東洋医学においても、根本的な考え方はこの易学に端を発しており、人を認識する道具として、臓腑経絡学、六経概念から、治療学、切診学に及ぶまでのあらゆる分野に易学の発想が必要とされます。
 又、易学は時間と空間の常道を定める事で、あらゆる変化をその常道に法って説いたものでもあります。
 この考え方を用いて、既存の中医学の枠を超え、鍼灸医学の発展的発想の実現を目指します。

「身体学」の授業概要
 学問を積み重ねた後や臨床で気づく事として、患者へのアプローチから接触、施鍼までの全てが結果に大きく左右するということ。何を目的に、何を捉えるのかといった意識の持ち方の大切さを学びます。
 術者の身体操作は、そのまま意識のありようとなって患者に伝わります。「気」を淀みなく流す事で初めて、患者との気の交流ができます。
特に切診では、この事が大変重要になることを先ずは実感していただき、日々の鍛錬法等を教授します。

学術部長 : 稲垣 順也(いおり鍼灸院・副院長,大阪医療技術学園専門学校・非常勤講師,森ノ宮医療学園専門学校・非常勤講師)

学術部長・稲垣順也

 東洋医学については、よく、「何を勉強したら良いか」という質問を受けます。
 私は、「何を勉強するか」よりも、「どう勉強するか」が大切だと思っています。
 鍼灸師にとって、おろそかにして良い事柄というのはなかなかありませんが、同時に、うのみにしきって良い書物というのも一つも無いと思います。特に、代表的な古典などは、「何を覚えるか」ではなく、「何を読み解くか」が試される書物だと感じます。
 『鍼道 一の会』は、2017年度以降、「教わる場」としてだけでなく、「学び取る場」としても、充実を図ってまいります。
 会へ来られた時には、我ら講師陣のみでなく、参加者の皆さんの勉強の仕方も参考にして、ご自身の読解力を高めていっていただきたいと願います。
 自分の舌と脈、すれ違う人々の顔、家族や知人の愁訴、ペットのお腹の触り心地(健康体ならではの柔らかさというものがあります)……学びの題材となるものは無数に転がっている訳ですから、世界を読み解く方法こそが、我々が勉強すべきものだと分かるでしょう。
 矛盾する事実を抱え、悩み、考え抜いた末、ひらめきと共に新しい視野が得られた時の至上の喜びを、ぜひとも味わっていただきたいと思います。

「一の会式・東医理論」の授業概要
 この科目では、鍼灸学校で習う『東洋医学概論』や『中医学』、古典の代表である『黄帝内経』『難経』『傷寒論』などに書かれた言説と接します。
 それらを題材として、鍼灸臨床の土台となるもの(人体観・疾病観・死生観・世界観とも言えるでしょう)の構築を目指します。
 東洋医学理論への本質的な理解を深めていきましょう。

顧問 : 安達 悠介(国際東洋医療学院・専任教員)

顧問・安達悠介

 日本の伝統鍼灸医学は、中国を源流としながらも、日本独自に発展した歴史を持っており、近年の医療界において、最もその躍進が期待される分野です。
 医学に限らずどのような分野で活躍するにしろ、自分の根となる基礎理論を盤石にし、そこに根ざしてさらに高度な知識や技術を身につければ、幹は太くしっかりと伸び、豊かに枝葉が繁ります。
このようにして自分の個性が生きる治療スタイルが次第に確立すると、幅広く社会に貢献することができると考えています。
 『一の会』では、改めて臨床に向けた基礎医学を培い、さらに多方面の講義によって、幹だけでなく枝葉である臨床知識・技術まで幅広く学ぶことができます。

 これから鍼灸医学を以て身を立てようとされる多くの学生・先生方にとって、鍼灸医学の流派の壁を超え、医学周辺も含めて多くの事を学べる会であり、社会から必要とされる臨床家への門となると考えています。

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